【3月の相続News】相続対策における「生前贈与」と「生命保険」の活用。

「そろそろ相続の準備を始めたいけれど、何から手をつければいいのかわからない」 「生前贈与がいいと聞いたけれど、税制が変わったと聞いて不安」

相続対策を考える際、多くの人が最初に検討するのが「生前贈与」と「生命保険」です。これらは非常に有効な手段ですが、2024年の大きな税制改正を経て、2026年現在はこれまで以上に「正確な知識」と「エビデンス(証拠)」が求められるようになっています。

本記事では、相続の専門家としての視点から、失敗しないための活用ポイントを解説します。


1. 生前贈与の活用と「7年ルール」への対応

生前贈与は、生きている間に財産を次世代に移すことで、将来の相続税を軽減する手法です。しかし、2026年現在、以下の「持ち戻し期間の延長」に細心の注意を払う必要があります。

「7年以内」の贈与は相続財産に加算される

亡くなる前に行われた相続人に対しての生前贈与については、相続税の計算上、相続財産に足し戻して計算される(持ち戻し)こととなっております。贈与税の非課税枠である年間110万円を生前贈与によって資産の移転がこれまでも行われていましたが、上記の持ち戻し期間が、2024年の改正以降、これまでの3年から「最長7年」へと段階的に延長されています。

  • 改正のポイント: 早く始めれば始めるほど、この「7年」の枠から外れる財産を増やすことができます。
  • 注意点(名義預金のリスク): 親が子供の名義で通帳を作り、印鑑も親が管理している場合、それは「贈与」とは認められず「名義預金」として相続税の対象になります。

贈与契約書の重要性

税務署から「名義預金」と疑われないためには、贈与契約書の作成が望ましいです。 「いつ、誰が、誰に、いくら贈ったか」を明確にし、お互いの合意を示す書類を残しておくことが、税務調査における防衛策となります。


2. 生命保険を活用した「納税資金」と「非課税枠」の確保

生命保険は、単なる保障だけでなく、相続対策において「現金」を作るための強力なツールです。

生命保険の非課税枠

相続人が受け取る生命保険金には、以下の非課税枠があります。

500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額

例えば、相続人が3人の場合、1,500万円までは税金がかからずに現金を受け取ることができます。

 また、生命保険による受取人への相続については「相続人の固有の財産」として扱われるため、遺産分割協議の対象からも外れます。つまり、特定の相続人に現預金を相続させたい場合、原則として遺産分割協議や遺留分の対象外となるため、生命保険分については他の相続人との調整も不要になります(全相続財産の中で生命保険の比率が多額な場合や資産状況、理由によっては相続財産として扱う最高裁判例もあるため、よく検討の上行うことが必要)。

 例えば、現預金が1億を持っている相談者様に子供が2人いる場合、遺言によって、子供1人に全て現預金を相続する旨を残した場合でも、遺留分請求によって、1/4の2,500万円についてはもう一人の子供が相続する権利があります。

 その際に現預金を7,000万円、生命保険を3,000万円とした場合、生命保険については原則として遺留分請求の対象外となり、現預金7,000万円の1/4の1,750万円のみに請求となります。

「口座凍結」への即効性

死亡と同時に銀行口座は凍結されますが、生命保険金は受取人が直接請求できるため、葬儀費用や当面の生活費、あるいは相続税の納税資金として、すぐに活用できるという大きなメリットがあります。

注意点:受取人指定の定期的な見直し

「受取人が既に亡くなっている」「数十年前に指定したままで現状に合わない」といったケースが散見されます。特におひとり様や、身元保証を検討されている方は、保険金の受取先を「死後事務委任」とセットで設計するなど、現代に合わせた見直しが必要です。


3. 相続対策を「点」ではなく「線」で考える

生前贈与も生命保険も、個別の「点」として行うだけでは不十分です。

  • 遺留分への配慮: 特定の子供にばかり贈与を繰り返すと、他の兄弟から「遺留分(最低限の取り分)」を主張され、争いに発展することがあります。
  • ライフプランの維持: 節税を優先しすぎて、ご自身の老後資金が不足しては本末転倒です。

当事務所では、これらの法務な視点に加え、「認知症対策(後見・信託)」や「高齢期のライフプラン」を含めたトータルなご提案を行っています。


まとめ:後悔しない相続対策のために

  相続税申告については、申告が必要か否かで税理士への相続税申告の作成依頼の有無が分かれます。相続税申告が必要な場合は税理士への依頼の報酬が必要になったり、申告に必要な広範な資料を求められることになるため、必要以上に時間や経費、報酬の支払いに負担がかかることとなります。

 相続税の計算において、同居親族への居住宅地の相続(小規模宅地の特例)配偶者控除(配偶者への相続税減)においては、相続税の申告が必要なうえで適用可能なものとなりますが、持ち戻しの対象外となる生前贈与(生前贈与~7年超経過や、相続人以外への生前贈与)生命保険の非課税枠の活用についてはそもそもの相続財産から除外されるため、場合によっては相続税申告自体が不必要となりえます。その意味で、生前贈与と生命保険は相続対策として非常に重要な要素と言えます。

 ただし、法務的、税務的なリスクが付きまとうものでもあるため、贈与を行う人や生命保険の受取人の指定者、契約形態によって想定していた効果が得られなくなる等のケースも考えられるため(例:生命保険の受け取りを孫にしていた場合に、その孫に生前贈与を行うなど)、専門家等に相談の上、進めていくことが望ましいです。

2026年、相続を取り巻くルールはより厳格化・複雑化しています。 「自分たちでやってみたけれど、これで合っているのか不安」という方は、ぜひ一度プロの目によるチェックを受けてみてください。

当事務所では、以下のサポートを行っております。

  • 贈与、生命保険、不動産等を含めた「遺言・承継プラン」の立案
  • 代表所属の保険代理店にて、生命保険の活用案内。
  • 認知症に備えた「任意後見・身元保証」の相談

相談は無料で承っております。まずは、あなたのご家庭の状況をお聞かせください。