相続の預金解約と株式移管|銀行・証券会社の手続きの流れと必要書類

故人の預金や株式は、相続人が金融機関に相続の手続きをすることで、払い戻しや名義の切り替えができるようになります。結論からお伝えすると、預金は銀行に亡くなったことを伝えると口座が凍結され、戸籍・遺産分割協議書(または遺言書)・印鑑証明書などを出して解約(払い戻し)します。上場株式は、証券会社で相続人の口座へ「移管」してから、売るか持ち続けるかを決めます。葬儀費用などで急ぎのお金が必要なときは、遺産分割の前でも一定額まで払い戻せる「預貯金の仮払い制度」があります。

このページでは、銀行での相続手続きの流れと必要書類、口座凍結の注意点、仮払い制度の計算方法、証券会社での株式移管の進め方を、相続手続きを専門にしている行政書士がまとめました。

預金・株式の相続手続きのご相談は初回無料です

弊所では、戸籍の収集から始まり、名義変更に至るまでの一連の相続手続きについてご相談いただけます。複数の銀行や証券会社にまたがる手続きも、順番から一緒に整理します。相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士と連携してサポートしています。

受付:平日9:00〜19:00。夜間・土日祝のご相談は、LINEのチャット・メール・お電話でご相談ください。

銀行での相続手続きの流れ

  1. 銀行に亡くなったことを連絡する:相続窓口(または取引店)に電話などで連絡します。この時点で口座は凍結されます。
  2. 必要書類の案内を受ける:銀行所定の相続手続依頼書などが届きます。必要に応じて残高証明書もこのとき請求します。
  3. 書類を集める:戸籍、遺産分割協議書や遺言書、印鑑証明書などをそろえます。
  4. 書類を提出する:窓口に持参するか、郵送で提出します(予約制の銀行も多くあります)。
  5. 払い戻し・名義変更を受ける:書類に不備がなければ、指定した相続人の口座へ振り込まれます。提出から入金までは、数週間程度かかることが一般的です。

主な銀行・信用金庫の相続窓口の連絡先は、銀行・信用金庫の相続手続き窓口一覧にまとめています。

口座凍結とは?連絡する前に確認したいこと

死亡届を役所に出しても、役所から銀行に連絡が行くことはありません。口座が凍結されるのは、ご家族などが銀行に亡くなったことを伝えたときです。凍結されると、引き出しや振り込みだけでなく、公共料金やカードの引き落としもできなくなります。

  • 引き落としの切り替え:公共料金・家賃・クレジットカードなどの引き落とし口座を、早めに相続人の口座へ変更しておきましょう(公共料金その他契約の解約・名義変更)。
  • 勝手に引き出さない:凍結前にキャッシュカードで引き出すと、ほかの相続人とのトラブルのもとになるうえ、相続放棄を考えている場合には「相続を認めた」とみなされるおそれがあります。必要なお金は、次の仮払い制度を使うのが安心です。
  • 年金の振り込み:亡くなった後に振り込まれた年金は、返す必要が出ることがあります。年金の手続きは世帯主変更、健康保険・年金の手続きをご覧ください。

預金の解約に必要な書類

必要書類は、遺言書があるか、遺産分割協議が済んでいるかによって変わります。代表的なものは次のとおりです(銀行によって異なるため、必ず事前に確認してください)。

ケース主な必要書類
共通銀行所定の相続手続依頼書、故人の通帳・キャッシュカード・証書、手続きをする方の本人確認書類
遺産分割協議書がある場合遺産分割協議書、故人の出生から亡くなるまでの戸籍、相続人全員の戸籍、相続人全員の印鑑証明書
遺言書がある場合遺言書(自筆証書遺言は検認済みのもの、または法務局の遺言書情報証明書)、故人の亡くなったことが分かる戸籍、預金を受け取る方の印鑑証明書(遺言執行者がいる場合はその方の印鑑証明書など)
遺産分割協議の前に相続人全員で手続きする場合故人の出生から亡くなるまでの戸籍、相続人全員の戸籍、相続人全員の印鑑証明書(依頼書に全員が署名・実印で押印)
  • 印鑑証明書の期限:「発行から3か月以内」や「6か月以内」など、銀行ごとに期限があります。取るタイミングに気をつけましょう。
  • 法定相続情報一覧図:法務局で法定相続情報一覧図の写しを取っておくと、多くの金融機関で戸籍の束の代わりに使え、複数の銀行の手続きを並行して進められます。
  • 原本の返却:戸籍などの原本は、頼めばコピーをとって返してもらえることが多いです。提出のときに伝えましょう。

戸籍の集め方は戸籍収集・相続人調査、協議書の作り方は遺産分割協議についてで解説しています。

遺産分割の前でも使える「預貯金の仮払い制度」

葬儀費用や当面の生活費など、遺産分割がまとまる前にお金が必要になることがあります。2019年7月から、各相続人が単独で、銀行の窓口で一定額まで払い戻しを受けられる制度が設けられています。

項目内容
払い戻せる額亡くなった時の預金額 × 3分の1 × その相続人の法定相続分
上限同じ金融機関からは、相続人1人につき150万円まで(複数の支店がある場合は合計で150万円)
必要な主な書類故人の出生から亡くなるまでの戸籍、相続人全員の戸籍(または法定相続情報一覧図の写し)、払い戻しを受ける方の印鑑証明書
払い戻した分の扱いその相続人が遺産の一部を先に受け取ったものとして、遺産分割で調整されます

計算例:相続人が子ども2人(法定相続分は各2分の1)で、A銀行の預金が900万円の場合、900万円×3分の1×2分の1=150万円となり、子ども1人あたり150万円まで払い戻せます。預金が1,200万円の場合は計算上200万円になりますが、上限の150万円までです。

150万円を超える額が必要な場合などは、家庭裁判所に申し立てて仮に払い戻しを認めてもらう方法もあります(遺産分割の調停・審判を申し立てていることが前提です)。また、仮払いを受けると相続放棄ができなくなるおそれがあるため、借金がありそうな場合は慎重に判断してください。

どの銀行から手をつければいいか迷ったら

口座が複数の銀行にあると、それぞれ書類も手順も少しずつ違います。弊所では戸籍の収集から名義変更に至るまで、一連の相続手続きについてご相談いただけます。相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士と連携しています。

受付:平日9:00〜19:00。夜間・土日祝のご相談は、LINEのチャット・メール・お電話でご相談ください。

株式の移管の流れ(上場株式)

上場株式は、銀行預金のように解約して現金で受け取るのではなく、まず相続人の証券口座へ移す(移管する)のが基本です。移管したあとに、売るか持ち続けるかを決めます。

  1. 証券会社に連絡する:故人が取引していた証券会社に亡くなったことを伝え、相続手続きの書類を取り寄せます。どこの証券会社か分からない場合は、証券保管振替機構への開示請求で調べられます(相続財産の調査)。
  2. 残高証明書を請求する:遺産分割や相続税申告のために、亡くなった日現在の残高を確認します。
  3. 相続人の口座を用意する:株式を受け継ぐ相続人が、故人と同じ証券会社に口座を持っている必要があるのが一般的です。持っていなければ新しく開設します。
  4. 相続手続依頼書と書類を提出する:戸籍、遺産分割協議書(または遺言書)、印鑑証明書などを添えて提出します。
  5. 移管の完了:相続人の口座に株式が移ります。その後は相続人の判断で売ったり、持ち続けて配当を受け取ったりできます。
  • 単元未満株:1単元に満たない株は、証券会社によっては移管せずに買い取りで現金化する方法を選べることがあります。
  • 特別口座:証券会社の口座に入っていない株が、株主名簿を管理する信託銀行の「特別口座」に残っていることがあります。配当の通知などが手がかりになります。
  • 投資信託:投資信託も、販売した銀行・証券会社で相続人の口座へ移すか、解約して現金で受け取る手続きをします。
  • 非上場株式:証券会社では扱わず、発行している会社との手続きになります。評価の考え方は非上場株式の相続税評価をご覧ください。

相続した株を売ったときの税金や、相続税の評価・特例については、税理士にご確認ください。無料相談では、相続税の申告が必要になりそうか、試算される場合の目安をお伝えしています。申告が必要な場合は、相続に強い提携の税理士をご紹介します(相続税申告)。

手続きをスムーズに進めるコツ

  • 先に財産の一覧を作る:どの銀行・証券会社に何があるかを一覧にしてから動くと、二度手間が減ります。
  • 書類は並行して集める:法定相続情報一覧図を使えば、複数の金融機関の手続きを同時に進められます。
  • 窓口は予約する:相続の手続きは時間がかかるため、予約制の金融機関が増えています。事前に電話で必要書類を確認しておくと、1回で済みやすくなります。
  • 不動産の名義変更も忘れずに:預金や株式と同じ協議書で、不動産の名義変更も進めましょう。2024年4月から相続登記は義務になっています。

お住まいの地域の手続き先は、横浜市・川崎市・町田市・大田区・世田谷区のページでもご案内しています。

区ごとの相続手続きの窓口:横浜市(青葉区・緑区・都筑区・港北区・鶴見区・神奈川区・中区・西区・南区・港南区・保土ケ谷区・旭区・磯子区・金沢区・戸塚区・栄区・泉区・瀬谷区)、川崎市(川崎区・幸区・中原区・高津区・宮前区・多摩区・麻生区)

当センターがお手伝いできること

代表の櫻井高貴は、行政書士・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・宅地建物取引士の資格を持ち、相続手続きを専門にしています(代表あいさつ)。銀行や証券会社の手続きは、平日の日中に窓口へ行く必要があったり、書類の不備で何度もやりとりが発生したりと、思った以上に手間がかかります。弊所では、戸籍の収集から始まり、名義変更に至るまでの一連の相続手続きについてご相談いただけます。相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士と連携してサポートしています。料金は手続きのサービス・料金をご覧ください。

相談場所は、当センターの事務所(青葉台)と貸し会議室(BIZcomfort)です。ご自宅への訪問やオンラインでのご相談にも対応しています(相談場所のご案内)。相続全体の順番は相続手続きの流れで確認できます。

よくある質問

Q. 死亡届を出すと銀行口座は凍結されますか?

死亡届を出しただけでは、役所から銀行に連絡は行きません。ご家族などが銀行に亡くなったことを伝えた時点で凍結されます。引き落としの切り替えなどを確認してから連絡すると安心です。

Q. 預金の相続手続きにはどのくらい時間がかかりますか?

書類を提出してから入金までは、数週間程度かかるのが一般的です。戸籍を集める期間や遺産分割協議の期間を含めると、全体では数か月かかることも珍しくありません。

Q. 葬儀費用を故人の口座から出したいのですが。

遺産分割の前でも、預貯金の仮払い制度で、同じ金融機関から相続人1人につき150万円を上限に払い戻しを受けられます(亡くなった時の預金額×3分の1×法定相続分の範囲内)。相続放棄を考えている場合は慎重に判断してください。

Q. 相続人が遠方に住んでいても手続きできますか?

多くの金融機関で郵送での手続きができます。遺産分割協議書や相続手続依頼書を郵送で回して署名・押印してもらえば、全員が窓口に行く必要はありません。

Q. 株を受け継ぐには、同じ証券会社に口座が必要ですか?

一般的には、故人と同じ証券会社に相続人の口座が必要です。口座がなければ新しく開設します。単元未満株などは、移管せずに現金化する方法を選べる場合もあります。

Q. 相続した株はすぐに売ってもいいですか?

相続人の口座に移管したあとであれば売却できます。遺産分割前は相続人全員の共有なので、勝手に売ることはできません。売却時の税金は税理士にご確認ください。

出典・確認日:2026年11月3日 十和田市「広報とわだ」相続法改正(預貯金の払戻し制度)、法務省「相続登記の申請義務化について」

最終更新:2026年11月 監修:行政書士・1級FP・宅建士 櫻井高貴(横浜青葉相続遺言相談センター)

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