【6月の相続News】見落としがちな「動産(車・家財・貴金属)」の相続税評価とは?

相続対策を考える際、多くの人が「不動産」や「預貯金等」の金融資産に目を奪われがちです。しかし、実際の相続の現場で、税務調査の対象になることもあり、また相続人が財産と認識しづらいものが「動産(どうさん)」です。

動産とは、現金・不動産以外の「動かせる財産」のことで、家具、家電、自動車、貴金属、骨董品などが含まれますが、近年、税務署の資産把握能力はさらに高まっており、「家の中のものは分からないだろう」という思い込みは危険です。

本記事では、動産がどのように相続税上で評価されるのか、その基準と注意点を専門家の視点で解説します。

1. 動産の相続税評価:基本は「売却可能価額」

国税庁の財産評価基本通達において、一般の動産の評価は原則として「課税時期(亡くなった日)における処分見込価額」、つまり「今、中古として売ったらいくらになるか」という市場価格をベースに計算します。

具体的には、以下のように分類して評価されます。

① 一般家財(家具・家電・洋服など)

テレビ、冷蔵庫、タンス、衣類などは、一つひとつを鑑定するのは不可能なため、実務上は一世帯ごとにまとめて評価します。

  • 評価の目安: 原則として「一括して10万円(〜数十万円)」などとまとめて「家庭用財産」として計上することが一般的です。

② 自動車

亡くなった日の時点で、同車種・同形式・同程度の年式・走行距離の車が中古車市場でいくらで取引されているか(買取査定額)が基準になります。または実際に売却する場合の査定見積もりを自動車の買い取り業者から取得できるようであればそちらで評価することもできます。

  • 注意点: 高級外車やクラシックカーなどは、想定以上に高い評価額となり、相続税に影響を与えることがあります。

③ 貴金属・宝石・書画骨董品

金地金(ゴールドバー)や高級時計、有名な絵画などは、一般家財とは別個に評価する必要があります。

  • 評価の目安: 金は亡くなった日の業者買取価格、骨董品などは専門の鑑定士による査定額(または同等の売却見込額)を用います。特に金(ゴールド)は近年価格が高騰しているため、数年前に買ったものでも現在の価値で評価される点に注意が必要です。

2. 実務でよくある「動産」の2大トラブル

落とし穴①:税務調査での「名義」と「購入履歴」のチェック

「タンス貯金」や「亡くなる直前に買った金」などは、亡くなった方の銀行口座の出金履歴から高確率で追跡されます。「購入したはずの現物がない」となれば、税務署から厳しく追及される原因になります。

落とし穴②:遺産分割協議での「価値の認識ズレ」

相続税上は「価値ゼロ(10万円の一括評価内)」とされる古い形見の品でも、ある相続人にとっては「思い入れがあるから欲しい」、別の相続人にとっては「売ればお金になるはずだ」と、感情的・経済的な不公平感を生み、話し合いがストップしてしまう原因になります。

3. 動産の相続に向けた対策

動産の相続で困らないためには、やはり「元気なうちの整理」が不可欠です。当事務所では、以下のサポートを通じて、スムーズな承継をお手伝いしています。

  • 「財産目録」への反映: 不動産や預貯金だけでなく、車や高価な貴金属、美術品をあらかじめ目録にリスト化し、家族に価値を共有しておきます。
  • 遺言書(公正証書遺言)での指定: 「自動車は長男に」「〇〇の絵画は長女に」と、遺言書で具体的に形見分け(特定遺贈)を指定しておくことで、死後のトラブルを未然に防ぎます。
  • 生前贈与・生前整理のコンサルティング: 使っていない貴金属や車は、元気なうちに売却して現金化するか、適切な手続きを経て生前贈与しておくことで、相続時の手間を大幅に減らせます。

まとめ:目に見える財産だからこそ、早めの「棚卸し」を

「家の中の物だから大丈夫」と後回しにされがちな動産ですが、正しい評価基準を知り、事前に準備をしておくことで、将来の税務リスクや家族間の衝突を確実に減らすことができます。

当事務所では、税理士をはじめとする各専門家と連携しバランスの取れた遺言・相続プランの作成をサポートしています。「実家の片付けを始めたい」「財産のリストを作りたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。