遺言書の基礎知識|3つの種類の違い・書き方・費用と法務局の保管制度

遺言書は、「自分の財産を、誰に、どのように引き継いでほしいか」を、法律で決められた形で残しておくものです。形式をひとつ間違えると無効になることがある一方で、きちんと残しておけば、残されたご家族の話し合いや手続きの負担を大きく減らすことができます。

このページでは、遺言書の3つの種類の違い、費用、書き方の要点、法務局の保管制度、作るときに気をつけたいことを、遺言書づくりをお手伝いしている行政書士がまとめました。これから遺言を考える方にも、ご家族の遺言書が見つかった方にも役立つ内容にしています。

遺言書づくりのご相談は初回無料です(60〜90分)

弊所では、方式の選び方から原案づくり、法務局への保管申請や公証人との調整まで、遺言書づくりの一連の流れについてご相談いただけます。相続税や不動産の登記が関わる内容は、税理士・司法書士と連携してサポートしています。

受付:平日9:00〜19:00。夜間・土日祝のご相談は、LINEのチャット・メール・お電話でご相談ください。

この記事の要点

  • 遺言書は主に「自筆証書遺言」「自筆証書遺言(法務局で保管)」「公正証書遺言」から選びます。
  • 手軽さを重視するなら自筆、確実さを重視するなら公正証書。法務局の保管制度(手数料3,900円)はその中間です。
  • 自筆の遺言は、全文・日付・氏名を手書きし、押印します。財産目録だけはパソコンで作れます。
  • 兄弟姉妹以外の相続人には「遺留分」があります。遺言を作るときは、この点にも配慮が必要です。

遺言書を残しておいたほうがよいのは、こんな方です

遺言書がないと、相続人全員で話し合い(遺産分割協議)、全員が署名と実印の押印をしなければ、預金の解約や不動産の名義変更が進みません。次のような方は、特に遺言書を考えておくと安心です。

  • お子さんのいないご夫婦(配偶者とあわせて、故人の親、親がすでに亡くなっていれば兄弟姉妹が相続人になります)
  • 再婚していて、前の配偶者との間にお子さんがいる
  • 相続人の中に、連絡が取りにくい人や疎遠な人がいる
  • 財産の中心がご自宅など、分けにくいものである
  • 内縁のパートナーや、お世話になった方、団体に財産を残したい
  • 家業や賃貸物件などを、特定の人に継いでほしい
  • おひとりさま(相続人がいない場合、特別な縁故のある方への分与などがなければ、財産は最終的に国のものになります)

お子さんのいないご夫婦の場合、配偶者がすべてを相続できると思われている方が多いのですが、故人の親や兄弟姉妹も相続人になります。兄弟姉妹には遺留分がないため、兄弟姉妹が相続人になる場合は「全財産を妻(夫)に相続させる」という遺言を残しておけば、配偶者がご自宅や預金をそのまま引き継げます。親が相続人になる場合は、親に遺留分があることも踏まえて内容を考えます。

遺言書でできること

できること内容
財産の分け方を決める誰にどの財産を渡すか、割合などを指定できます
相続人以外に財産を渡す(遺贈)内縁のパートナー、孫、お世話になった方、団体などにも残せます
遺言執行者を決める遺言の内容を実現する人を指定できます。手続きがぐっと進めやすくなります
子の認知、未成年の子の後見人の指定身分に関することも、遺言で定められます
相続人の廃除虐待や重大な侮辱などがあった相続人の相続権を失わせるよう求めることができます(遺言執行者が家庭裁判所に申し立て、裁判所が判断します)
生命保険金の受取人の変更保険の契約内容によっては、遺言で受取人を変えることもできます
付言事項(気持ちを伝える言葉)法的な効力はありませんが、分け方の理由や家族への感謝を書き添えられます

遺留分に注意

兄弟姉妹以外の相続人(配偶者、子、親など)には、最低限受け取れる割合として「遺留分」が認められています。遺留分を侵害する内容でも遺言書は無効にはなりませんが、受け取れなかった相続人から金銭で請求される(遺留分侵害額請求)ことがあります。「長男にすべて」といった遺言を考える場合は、ほかの相続人への手当てもあわせて考えておくと、争いになりにくくなります。

遺言書の3つの種類と違い

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自筆証書遺言自筆証書遺言(法務局で保管)公正証書遺言
作り方全文・日付・氏名を手書きし、押印(財産目録はパソコン可)自筆で書いたものを法務局に預ける公証人が作成し、証人2人が立ち会う
費用ほとんどかからない保管の手数料3,900円公証役場の手数料(財産の額や受け取る人数で決まる)など
家庭裁判所の検認必要不要不要
無効になるおそれ形式の不備で無効になることがある形式は確認してもらえるが、内容は審査されない低い
紛失・書き換えのおそれあるないない
向いている方まずは手軽に書いておきたい費用を抑えつつ、確実に保管したい確実さを重視したい、財産や相続人が多い

このほかに、内容を秘密にしたまま公証役場で存在だけを証明してもらう「秘密証書遺言」もありますが、検認が必要で、実際に使われることは少なくなっています。

自筆証書遺言の書き方の要点

  • 全文・日付・氏名を自分の手で書き、押印する。印鑑は認印でもかまいませんが、実印を使うと安心です。
  • 日付は「令和8年11月2日」のように特定する。「令和8年11月吉日」は日付が特定できず、無効になります。
  • 財産目録はパソコンで作成したり、通帳のコピーや登記事項証明書を付けたりできます。その場合は、目録のすべてのページに署名と押印が必要です。
  • 財産と人をはっきり書く。不動産は登記簿のとおりに、預金は金融機関名・支店名・口座番号まで書くと、手続きで困りません。
  • 訂正は決められた方法で。方法を誤ると訂正が無効になるため、間違えたら書き直すほうが安全です。
  • 受け取る人が先に亡くなった場合も考えておく。「妻が先に亡くなっていたときは長男に」のように書いておく方法(予備的遺言)があります。

書き方の詳しいポイントは、自筆証書遺言の正しい書き方でもご紹介しています。

法務局の自筆証書遺言書保管制度

2020年7月から、自筆で書いた遺言書を法務局に預けられるようになりました。紛失や書き換えの心配がなく、亡くなった後の家庭裁判所の検認も不要になります。

  • 手数料は1件3,900円。保管をやめる(撤回する)ときは手数料はかかりません。
  • 本人が予約をしたうえで、管轄の法務局に出向いて申請します。代理人による申請はできません。
  • 用紙はA4判で片面に書き、上下左右に決められた余白をとります。とじたり封をしたりせずに持参します。
  • 希望すれば、亡くなったことを法務局が確認したときに、あらかじめ指定した方(3名まで)へ遺言書が保管されていることを知らせてもらえます。
  • 法務局で確認してもらえるのは形式だけです。内容の相談はできず、内容が有効かどうかまでは保証されません。

ご家族が亡くなった後に、法務局に遺言書が預けられているかどうかを調べる方法は、遺言書の有無の確認で解説しています。

公正証書遺言の流れと費用

公正証書遺言は、公証人が本人の意思を確認しながら作成する遺言です。形式の不備で無効になるおそれが低く、原本は公証役場に保管されるため、確実性の高い方法といえます。

  1. 遺言の内容(誰に何を残すか)を考え、原案をまとめる
  2. 戸籍謄本、印鑑登録証明書、不動産の登記事項証明書や固定資産評価証明書、財産を受け取る方の住民票などをそろえる
  3. 公証人と内容を打ち合わせる
  4. 証人2人とともに公証役場で作成する(入院中などで出向けない場合は、公証人に出張してもらうこともできます)

証人には、未成年者や、相続人になる予定の方、財産を受け取る方(受遺者)、その配偶者や直系の血族はなれません。身近に頼める方がいない場合は、当センターで手配することもできます。

公証役場の手数料は、財産の額と、財産を受け取る人の数によって決まります。2025年10月に手数料が改定されていますので、正確な金額は公証役場で事前に見積もってもらうのが確実です。当センターでご依頼いただいた場合も、打ち合わせの段階で見積もりをお伝えします。

また、2025年10月から公正証書の手続きがデジタル化され、公正証書は原則として電子データで作成・保存されるようになりました。条件を満たし公証人が認めた場合には、ウェブ会議で手続きに参加できる仕組みもできました。遺言で利用できるかどうかは、事前に公証役場にご確認ください。作成の流れは公正証書遺言を作る5つのステップもご覧ください。

遺言書づくりのご相談は初回無料です

弊所では、方式の選び方から保管・作成の手続きまで、遺言書づくりの一連の流れについてご相談いただけます。相続税や不動産の登記が関わる内容は、税理士・司法書士と連携してサポートしています。当センターの事務所(青葉台)や貸し会議室(BIZcomfort)、ご自宅への訪問、オンラインでお話を伺います。

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遺言書を作るときに気をつけたい5つのこと

1. 遺留分に配慮する

先に触れたとおり、遺留分を大きく下回る内容にすると、相続のあとで請求を受けることがあります。財産の内容によっては、生命保険の受取人の指定と組み合わせて、ほかの相続人に渡す分を準備しておく方法もあります。こうした資金面の組み立ては、FPとしての視点からもご提案しています。

2. 遺言執行者を決めておく

遺言執行者を指定しておくと、預金の解約や不動産の名義変更を、遺言執行者が中心になって進められます。相続人同士が顔を合わせにくい場合や、相続人以外に財産を渡す場合には、特に決めておきたいところです。

3. 付言事項で気持ちを伝える

「なぜこの分け方にしたのか」「家族への感謝」を、最後に自分の言葉で書き添えておくと、受け取る側の納得感がまったく違います。相続の場面で揉めてしまうのは、金額よりも気持ちのすれ違いであることが少なくありません。

4. 判断能力のあるうちに作る

遺言は、内容を理解して判断できる状態で作る必要があります。認知症が進んでから作った遺言は、あとで有効かどうかが争われることがあります。「まだ早い」と思えるうちに作っておくのがいちばんです。

5. 家族や財産が変わったら見直す

遺言書はいつでも書き直せます。内容が食い違う場合は、日付の新しい遺言が優先されます。家を売った、孫が生まれた、受け取る予定の人が先に亡くなった、といった変化があれば、見直しを考えましょう。

ご夫婦で考える二次相続

ご夫婦の場合は、どちらかが亡くなったとき(一次相続)だけでなく、残された方が亡くなったとき(二次相続)まで見通して考えることが大切です。二次相続では配偶者がいなくなるため、相続税の基礎控除が減ったり、配偶者の税額軽減が使えなかったりして、負担が重くなることがあります。また、残された方の生活費や介護の費用、ご実家をどうするか、認知症になったときの備えも気になるところです。ご夫婦それぞれが遺言書を作っておくと、こうした心配を減らせます。当センターでは、行政書士としての遺言づくりと、FPとしての生活資金のご相談を、あわせてお受けしています。

ご家族の遺言書が見つかったら

自筆の遺言書を見つけたら、封がしてあっても開けずに、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で「検認」を受けます。勝手に開封すると過料の対象になることがあります。法務局に預けられていた遺言書と、公正証書遺言は、検認は不要です。手続きの流れは遺言書の検認手続きをご覧ください。

当センターの遺言書作成サポート

弊所では、方式の選び方から原案づくり、財産目録の作成、法務局への保管申請や公証人との調整まで、遺言書づくりの一連の流れについてご相談いただけます。相続税や不動産の登記が関わる内容は、税理士・司法書士と連携してサポートしています。地域ケアプラザでの遺言勉強会など、地域で遺言のお話をする機会もいただいています。

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プラン料金(税抜)内容
自筆証書遺言サポート70,000円原案の作成、形式の確認、財産目録の作成
自筆証書遺言保管申請サポート80,000円上記に加えて、法務局への保管申請書の作成と予約までのご案内
公正証書遺言サポート125,000円戸籍の収集、原案の作成、公証人との打ち合わせ、当日の立ち会い(証人1名分)

公証役場の手数料などの実費は別途かかります。詳しくは遺言書作成サポートのページをご覧ください。

よくある質問

Q. 遺言書は何歳から書けますか?

15歳から書くことができます。年齢の上限はありませんが、内容を理解して判断できることが必要です。

Q. 夫婦で1通の遺言書にまとめられますか?

できません。2人以上が同じ書面で遺言することは法律で禁止されているため、ご夫婦でも1人1通ずつ作ります。

Q. パソコンで書いた遺言や、動画で残した遺言は有効ですか?

自筆証書遺言は、財産目録を除いて本文を手書きする必要があります。パソコンで作った本文や、動画・音声・メールで残したものは、遺言書としての効力はありません。気持ちを伝える手段としては意味がありますので、正式な遺言書と組み合わせるとよいと思います。

Q. 一度書いた遺言書を書き直したいときは?

いつでも書き直せます。新しい遺言書を作れば、前の遺言と食い違う部分は新しいほうが優先されます。法務局に預けている場合は、新しい遺言書をあらためて預けることができます(前の遺言書の保管を撤回することもできます)。

Q. 認知症と診断されたら、もう遺言は作れませんか?

診断を受けたからといって、すぐに作れなくなるわけではありません。症状の程度によります。ただ、あとで争いにならないよう、医師の診断書を取っておいたり、公証人が意思を確認する公正証書遺言にしたりする工夫が大切です。早めにご相談ください。

Q. 遺言書があれば、相続税は安くなりますか?

遺言書を作ること自体で相続税が減るわけではありませんが、誰が何を相続するかによって、使える特例が変わることがあります。無料相談では、伺った財産から相続税の申告が必要になりそうか、試算される場合の目安をお伝えします。正確な税額や特例が使えるかどうかは、相続税申告の際に税理士にご確認ください。申告が必要な場合は、相続に強い提携の税理士をご紹介します。

このページを監修した専門家

横浜青葉相続遺言相談センターは、櫻井高貴行政書士事務所が運営する相続専門の事務所です。代表の櫻井高貴は、行政書士・1級FP・宅地建物取引士の資格を持ち、地域ケアプラザなどで遺言・相続の勉強会の講師も務めています(代表挨拶)。

最終更新:2026年11月 監修:行政書士・1級FP・宅建士 櫻井高貴(横浜青葉相続遺言相談センター)

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本ページの内容は2026年11月2日時点の情報です。出典:法務省「自筆証書遺言書保管制度」、日本公証人連合会「公正証書の作成手続のデジタル化」ほか。

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